ジントニックのレシピ|ボンベイサファイア・タンカレーの味、違い
ジントニックの簡単なレシピを紹介。味、アルコール度数、カロリーは?オランダのライデン市から生まれたジン。その歴史・種類・製造方法を説明し、ボンベイサファイア、タンカレー、ビーフィーターなど代表的銘柄のレシピ、味の違いなどを解説。
バーテンダーにとって最も作りやすく、だからこそ難しいと言われるジントニック。 「バーに行ったらまずはジントニックを飲めばその店の実力がわかる」と言われるほど、簡単だけれども奥の深いカクテルです。
本記事では、お店においてジントニックの作り方、ベースとなるジンの違いに関する知識、おいしいジントニックを提供するためのノウハウを説明します。
ジントニックとは?
そもそもジントニックとはどのようなカクテルなのでしょうか?
その名の通りジンと、トニックウォーターでつくられるカクテルで、冷えた氷を入れたグラスにジンとトニックウォーターを1対3の割合で注ぎ混ぜ、多くはレモンかライムを絞って完成です。
作り方
- 用意するもの ジン:30ml トニックウォーター:90ml
- 作り方
- 氷を入れたグラスに、ジンを注ぐ。
- よく冷やしたトニックウォーターでグラスを満たし、軽くステアする。
- ライムスライスを飾る。
このように簡単なジントニックですが、発祥は18世紀イギリス統治下のインドで、東インド会社の社員が、滋養強壮に良いとして普段飲んでいたトニックウォーターに、熱帯病予防や殺菌のために良いと言われていたアルコールを混ぜて飲んだことが始まりと言われています。
味
ジントニックの味は「さわやか」「ドライ」という言葉で形容されることが多いカクテルです。
それも、メインの成分となっているジンのドライなアルコール感、トニックウォーターの炭酸とバランスのとれた甘味それぞれが絶妙に混じり合い、氷でキリッと冷やされるからこそ出る味わいです。
特にジンは、蒸留の過程でボタニカル(ハーブ、果物の皮、スパイスなど)を複数種類混ぜたり漬け込んだりするため、銘柄ごとに多彩な味わいと風味を持ちます。ボタニカルを加えたジンは「スパイシー」「柑橘系」「ココナッツ」「フルーティ」「バニラ」など・・・非常にたくさんの味わいと風味があります。
ですので、ベースとなる「さわやか」「ドライ」という味わいに加えて、ジンの銘柄によって異なる風味を多彩にかつ、簡単に(氷の入ったグラスに、ジンとトニックウォーターを入れて混ぜるだけ!)楽しみながら、自分だけのいちばんのお気に入りのジントニックの味わいを見つけることができるのもジントニックの魅力です。
アルコール度数
ジントニックのアルコール度数はどれくらいなのでしょうか? 一般的に5%程度で出されることが多いです。
もともとジンは40%の度数のスピリッツ(お酒)ですが、4倍の量のトニックウォーターと氷で混ぜて飲みますので、ジンのアルコール分が薄められて5%程度になるのです。
ただ、バーによっては、ジンの味わいをより深く味わってもらうために多めのジンを使ってアルコール度数で出すところもあれば、すっきり感を楽しんでもらうためトニックウォーターを多めに使い軽めの度数で提供することもあります。
カロリー・糖質
最近のバーのお客様は、健康志向も高まり、お酒に配合されるカロリーや糖質も気にされる方が増えています。 日本酒やビールはカロリー、糖質が高いため避ける方が多いとされていますが、ジントニックはどうなのでしょうか?
結論から申し上げると、ジントニックのカロリー・糖質は高めです。1杯分のカロリーは約300kcal、糖質も約9gです。
一般的にご飯一杯分のカロリーは200kcal、ビール一杯分の糖質が約9gですので、いくら「すっきり」「さわやか」飲みやすくてもダイエット中のお客様に何杯も勧めるのはよくないかもしれません。
糖質 | カロリー | |
---|---|---|
ジン30mlあたり | 0g | 約190kcal |
トニックウォーター100mlあたり | 8g | 約35kcal |
そもそもジンとは?
先にジンの素材・製造方法について説明を簡単にしましたが、もう少しジントニックのベースであるジンについて、歴史や種類など深堀したいと思います。
オランダのライデンから|ジンの始まり
1660年にオランダのライデンにあるライデン大学医学部のフランツ・デ・レ・ボエ博士という医学者が、薬用酒として製造したのが始まりです。
博士は、アルコール液にジュニパーベリー(ねずの実)を浸して、解熱剤・利尿剤として薬局で販売。名称は、ジュニパー・ベリーのフランス語、ジュニエーヴルにちなみ、「ジュニエーヴル・ワイン」としました。
当時、雑味のある蒸留酒が多かったため、ジュニパーベリーの効果でさわやかになった味わいが医療用だけでなく一般にも広がって行きました。
このジュニエーヴルワインが、のちにイギリス人間にも広がり、縮まって「ジン」と呼ばれるようになりました。
種類
400年あまりの歴史があるジンですが、その製造方法・素材で種類も枝分かれしてきました。現在は大きく分けて4つの種類があります。
ドライ・ジン
現在最も飲まれているジンの種類で、ジントニックのベーススピリッツとなっているのも、このドライジンです。 ロンドンが原産で、イングリッシュジンなどとも呼ばれています。
製造方法は、大麦・ジャガイモ・ライ麦などを蒸留してできたアルコール度数約90%のベーススピリッツを、乾燥させたジュニパーベリーやそのほか複数種類のボタニカルと一緒に再蒸留し、約60%まで下げ、さらにボタニカルに漬け加水を行ってまた再び蒸留することで香りと味わいを深めてつくられます。
最終的にアルコール度数は約40ー50%となり、風味がありながらも、雑味が抑えられすっきりとした味のジンになります。
ジュネヴァ
こちらは、ジンの発祥のオランダの製法に基づいた、原型に一番近いジンで、「クラシックジン」や「オランダジン」と呼ばれています。
ドライジンとの製造方法の違いは、原料の麦芽が多めであることと、それを糖化・醸造した後に蒸留を行っていること、そして蒸留が1回であることです。
これにより、ドライジンよりも風味が濃厚で、トロ味と甘味があるジンになります。
シュタインヘーガー
シュタインヘーガーはドイツ産のジンで、名前の通りドイツの街シュタインヘーガー原産のジンです。
生のジュニパーベリーを蒸留したスピリッツと、大麦・ジャガイモ・ライ麦などを蒸留したベーススピリッツ を掛け合わせ、再蒸留してつくります。
ドライジンが、ベーススピリッツに、乾燥させたジュニパーベリーなどのボタニカルを後から加えているのに対して、それぞれ生のまま別蒸留して掛け合わせるというところに違いがあります。
ドライジンよりも、風味・甘味が薄いためマイルドでスムースな味わいになっています。
オールドトムジン
18世紀イギリスでまだドライジンの蒸留方法が確立されていない頃に、ジンの雑味を抑えるために2%程度糖分を加えることで作られたジンです。
ビクトリア王朝時代には、犯罪抑止のために禁酒法ジン製造の禁止の流れがありました。酒の密売所の看板に目印として、「年老いた猫」を描いていたことから名付けられたと言われております。(イギリスでは雄猫をトムと呼ぶことがある)
その後ドライジンの誕生で、製造はされなくなりましたが、現在では、その味わいが見直され再復刻がなされています。
このオールドトムジンを使った、爽やかなカクテル、トムコリンズはあまりにも有名です。
代表的ジン銘柄とおすすめジントニックレシピ
ここからは代表的なジンブランドと、それぞれにオススメのジントニックレシピを紹介します。
ボンベイサファイア
ボンベイ・サファイアは、ジュニパーベリーを中心に、リコリス、アーモンド、レモンピール、オリス、アンジェリカ、コリアンダー、桂皮、クペパ、グレインズオブパラダイスの、世界各国から厳選して集められた10種類のボタニカルを使用しつくられています。
様々なボタニカルが複雑に絡み合った風味は「ボトルから注いだ瞬間カクテル」というキャッチコピーの通りストレートでも味わい深いものになっています。
18世紀ヴィクトリア王朝時代のイギリスで生まれたため、ボトルにはヴィクトリア女王の肖像画あしらわれており、当時の華やかな時代を彷彿とさせる、サファイアのブルーのボトルカラーとデザインとなっています。
ボンベイサファイアを使ったおすすめジントニックの作り方
ジントニック
- 作り方
- ラウンドグラスの八分目まで氷を入れる
- ボンベイサファイアジンを30ml注ぐ
- バースプーンでよくステアする
- トニックウォーターを120ml注ぐ
- ライムを搾り入れる
- 軽くステアする
タンカレー
タンカレーは「ジンのロールスロイス」の異名をもつドライジンの中でもプレミアムクラスのジン銘柄です。 1830年に20歳のチャールズ・タンカレー氏が作り出しました。
蒸留を4度行うことで純度が高まり、すっきりとした味わいが特徴です。 ボタニカルは、ジュニパー・ベリー、コリアンダー、アンゼリカの3つを中心に、20種類以上用いられています。
特にジュニパー・ベリーは厳選された品種を18ヶ月熟成したものを用いています。
タンカレーを使ったおすすめジントニックの作り方
コパグラス ジントニック
- 作り方
- ラウンドグラスの八分目まで氷を入れる
- バースプーンで20回転ステアする
- ストレーナーを使い、グラス内の溶けた水を捨てる
- 常温のタンカレーを75ml注ぐ
- ボタニカルを適量加える
- バースプーンで30回転ステアする
- トニックウォーターと炭酸水を順番に半々で適量注ぐ
- ライムとレモンを絞らずに入れる
- ストローを差し入れる
ビーフィーター
ラベルに描かれた兵隊の絵が特徴のジンです。 ビーフィーター(BEEFEATER)とは、ロンドン塔を守る近衛兵のことを指しており、その昔国王主催のパーティーで、残った牛肉の持ち帰りを許されたことから、BEEF+EATER(牛肉を食べる人)と呼ばれたことに由来しています。
1820年に創業者のジェームス・バロー氏が、芳醇で力強い風味を表すために、この名称をつけたことに始まります。
ボタニカルはジュニパーベリー、セビルオレンジピール、アーモンド、オリスの根、コリアンダーの種、アンジェリカの根、リコリス、アンジェリカの種、レモンピールを利用しており、特にレモンピールは強い柑橘系の特徴を醸し出すビーフィータージンのキーボタニカルです。
再蒸留の前にこれらのボタニカルを24時間じっくりと浸す(スティーピング)することにも特徴があります。そうすることで、ボタニカルの味わいがしっかりとスピリッツに浸透し、深く厚みのある風味を生み出しています。
ビーフィーターを使ったおすすめジントニックの作り方
THE B&T
用意するもの ビーフィータージン:50ml トニックウォーター:適量 レモン:輪切り1つ オレンジ:輪切り1つ 氷 ラウンドグラス
-
作り方
- ラウンドグラスにビーフィータージンを50ml注ぐ
- トニックウォーターをグラスの半分まで注ぐ
- 氷をグラスに入れ、レモンとオレンジも入れる
- トニックウォーターを再び注ぎ、軽くステアする
まとめ
いかがでしたか。 ジントニックは簡単だからこそ、使用するジンの風味と特性を知り、最適なカクテルをつくるとお客様に喜ばれます。また、それぞれのジンの歴史や背景も語れるとお客様とのコミュニケーションも深まります。
ぜひ今回の記事を参考に、ジントニックおいしいジントニックをつくってみてください。 また、これだけでなく、お店オリジナルのジントニックを開発すれば、シグネチャードリンクとして人気になるかもしれませんので、新メニュー開発にもチャレンジしてみてくださいね。