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食品ロスとは?原因はインスタ映え?減らすための対策と取り組み

食品ロス(フードロス)は世界的な環境問題・食糧問題の原因となるだけでなく、飲食店の利益を圧迫します。世界と日本の現状と「1/3ルール」や「インスタ映え」などの問題点を洗い出し、事例を紹介しながらロス削減の対策、便利なアプリを紹介します。

「これ本当に美味しいね」そう言ってペロリと完食してもらえる。飲食店をやっていて一番うれしい瞬間です。

ところが最近ブログメディアや、インスタグラムを始めとしたSNS影響で、「写真やレビューで残したいから、とにかくたくさんの種類を注文」「インスタ映えするために食べないものまで注文」といったことが増え、食べ残しや過剰に仕込んだ料理の廃棄=食品ロス(フードロス)が問題となっています。

年間632万トンにもなる日本の食品ロスは環境問題、食糧問題であると共に、飲食店にとっては利益率を左右する経営問題でもあります。

本記事ではそんな食品ロスについての現状や原因を解説し、飲食店が食品ロス削減のためにできる対策と、最近日本にも登場した食品ロス対策のサービスを紹介します。

ぜひ最後までお付き合いください。

食品ロス(フードロス)、現状の問題点と削減の必要性

まずは食品ロスの問題点とその原因を解説し、飲食店として食品ロス対策を行うとどのようなメリットがあるのかを紹介していきます。

食品ロスとは?世界と日本の現状の問題点

食品ロスは世界と日本そして、飲食店にとって克服していかなければいけない大きな問題です。

そもそも食品ロスとは何でしょうか?食品ロスとは、まだ食べられるのに、満腹、賞味期限切れ、型くずれして商品価値が無くなったなどの理由で食品を廃棄してしまうことを指します。

農林水産省と環境省の発表によると、平成27年度の日本の食品ロスは約646万トン! これは1,300万人の東京都民が一年間に食べる食品の量に匹敵する莫大な量です。

ちなみに日本の食料自給率は約39%ですから、我が国はわざわざ海外から食料を輸入しつつ、それを廃棄していることになります。

これはマクロな視点で見ると、世界的にも、日本にとっても大きな問題です。世界では年間に生産された食料の1/3、約13億トンが毎年廃棄され、これは温室効果ガスの3番目に大きな排出源になるなど、食糧問題だけではなく、環境問題にもなっているのです。

ミクロな視点で見ると、飲食店や家庭に経済的、経営的な影響を与えています。 特に元々低い利益率に加え、近年のデフレ傾向で更にコストカットを強いられている飲食店には深刻なダメージです

「1/3ルール」「インスタ映え」|日本の食品ロスの原因

なぜ日本では、このような深刻な問題が放置したまま続いているのでしょうか? 次に日本における食品ロスの原因について見ていきたいと思います。

日本の食品ロスの原因は1/3ルール

日本の食品業界には「1/3ルール」という商習慣があり、本来まだ食べられる食品が無駄に捨てられています。

  • 製造日から賞味期限までの期間を1/3づつに分け、
  • 最初の1/3を小売店に届ける「納品期限」、
  • 次の1/3を「販売期限」と定め、

納品期限を過ぎた食品は小売店から拒否されるので廃棄、販売期限を過ぎたものは店頭から撤去されて廃棄しているのです。

私達もスーパーやコンビニでついつい賞味期限が長い商品を選んでしまいがちですが、日本人の高すぎる安全志向がこのような商習慣を生んでいると言えます。

注文には必ず応えなければいけないという呪縛

食品製造業や飲食店には、「注文された時には必ずそれに応えなければいけない」「商機を逃したくない」という強迫観念があります。

食品製造業は商品が不足しないように多めに作り、注文が下回った時は廃棄する。 飲食店は細分化した顧客のニーズに応えるために多彩なメニューを仕込み、注文されなければ廃棄する。

共に顧客のことを第一に考える日本人らしい姿勢が、食品廃棄につながってしまっています。

インスタ映え

近年、インスタグラム用の写真を撮るため、いわゆる「インスタ映え」るために料理を注文し、ろくに食べないで帰ってしまうことが問題になっています。 またユーチューバーがファミレスや居酒屋のメニューを「全商品頼んでみた」という企画で大量に食べ残したことがニュースになったのも記憶に新しいところです。

このようなケースは極端な例だとしても、デフレで飲食代が安くなったことを良いことに、一般の消費者も含めた「頼み過ぎ」が食品ロスにつながっているのは事実です。

世界と日本の食品ロス対策と取り組み

食品ロスについては、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の一つに、世界全体の一人あたりの食料廃棄量を2030年度までに00年度比で半減させることを目指すことが盛り込まれました。

実際上記1/3ルールという商習慣が残る日本と異なり、世界各国では様々な取り組みが行われています。

アメリカ

膨大な量の食事が出てきて「あんなに食べられるのかしら?」と心配になるアメリカですが、対策はきちんと取られています。

各飲食店は「ドギーバッグ」という持ち帰りのための容器を準備。食べ残しの持ち帰りが恥ずかしいので「ワンちゃんの餌なんだよ」と言い訳するために付けられた、洒落た名前のこの容器で、食べ残しの持ち帰りを推奨しているのです。

フランス

農業大国であり、「食の国」であるフランスでは、2016年2月から「食品廃棄禁止法」が施行されています。 これは400㎡以上の大型スーバーでは、売れ残りや賞味期限切れの食品を廃棄することを禁止。それらの食品をフードバンクなどの慈善事業団体に寄付する義務を負うというものです。

違反した場合、経営者は75,000ユーロ(約1,000万円)の罰金か、2年の禁固刑に処せられます。

デンマーク

デンマークにはボランティア団体が運営する「賞味期限切れ・訳あり品専門」のスーバーがあり、最大半額の料金で食品が販売されています。

スペイン

近年人気の高い美食の街サン・セバスティアンを擁するスペインでは、余剰食品をシェアする「連帯冷蔵庫」が地域ごとに設置されています。

これは飲食店や一般家庭から出た余剰食品や、賞味期限の近づいた食品をこの冷蔵庫に保管し、貧困者のもとに渡るようにしたものです。

このように各国で対策が取られている食品ロス問題ですが、「とにかく新鮮なものを良しとする」「いつでも欲しいものがすぐ食べたい」という国民性もあって、日本では進んでおらず、飲食店や家庭といった「個人レベルでの意識改革」が急がれています。

日本において食品ロス対策の取り組みを行うとどんなメリットがあるのか

ここまでは世界各国の食品ロス対策の取り組みを見てまいりました。 日本においても同様に対策を立てて取り組むことは大事ですが、実際にはどのようなメリットが有るのでしょうか?

ここからは食品ロス対策の取り組みがどのようなメリットをもたらすのか確認したいと思います。

食品ロスの焼却には2,500億円以上!その半分は税金で負担

食品ロスをなくせば、税金の負担を軽減ができます。

どれほどの税金が食品ロス焼却に費やされているかご存知でしょうか? 年間646万トンもの食品ロスの内、リサイクルされているのは3割程度。残りは廃棄物として自治体の焼却炉に運ばれます。

1トンのゴミを焼却するのには少なく見積もっても4~5万円はかかるため、その費用は

646万トン×4万円=2,584億円

実に2,500億円以上の経費がかかり、しかも「その半分は税金で負担」されているのです。 食品ロスを無くせば、食品自体の無駄+税金という二重の負担を減らすことができるのです。

食品ロスを削減で 飲食店の経営は上向きに

飲食店においては食品ロスを削減する場、原価率も低下し、利益が上がります。

農林水産省のデータによると、飲食業における食品ロスで最も多いのは「お客様の食べ残し」で58%、次いで「仕込みすぎ」が39%と続いています。

これらはお客様へのサービスに関係ないいわゆる「ムダ」なわけです。

通常飲食業の原価率は30%程度が理想と言われますが、インスタグラムを始めとするSNSの発達により消費者の舌は肥え、それに応えるために食材原価は上昇しています。

食材の質を落とす、それは客離れにつながってしまうのでできません。 そこで「食品ロスを減らすのです。 「食べ残し」と「仕込みすぎ」ですから、客とお店、双方にとってムダなものです。誰からも苦情を受けず、むしろ喜ばれて、しかも利益率が向上する。

飲食店こそ食品ロス対策を行うべきです。

飲食店が食品ロスのための対策・事例・アプリ

食品ロスの削減が、お店の経営のために、日本のために、そして世界のために重要なことであり、メリットも大きいことが確認いただけたと思います。

ここからは飲食店が今後していくべき食品ロス対策の取り組みを、お店で導入されている事例も紹介しながら提案していきます。最後には最近始まっている飲食店における食品ロス対策のサポートをしてくれるアプリを紹介いたします。

今日からできる食品ロス対策の取り組み

まずは思い立った今日からでも行うことができる取り組みを紹介します。

予約客を増やし、仕込みのムダを無くす

仕込みのムダを防ぐには予約客を増やすことが一番効果的です。 人数が把握できているので量的に余計な分を仕込むことがなくなりますし、コース料理を勧めれば品数も絞ることができます。

そこまでできなくても、予約の際に好みや食事の量を聞いておくだけで仕込みを調節できます。

売上も安定する一挙両得な方法です。

客層を見て食べ切れるように分量などを工夫する

予約客でなくても客層を見て、「女性2人組」や「年配の客」だったら量を減らすなど、食べ残しが出ないように工夫することが大切です。

料理のタイミングを図る

矢継ぎ早に料理が提供されても客側は一気に食べることはできません。 すると必然的にテーブルの上に置かれ、放置状態になる料理が出てきます。これが「食べ残し=食品ロス」になるのです。

これを防ぐためには客の食べるペースをよく観察し、料理を提供するタイミングを図る工夫をします。

小盛りメニューや小皿メニューを採用する

SNSの発達などにより情報が溢れ、飲食店を利用する人は「少しでも多くの種類の料理を味わってみたい」と考えています。

その心理が膨大な食べ残しにつながってしまうわけですが、対策として「小盛りメニュー」や「小皿メニュー」を導入します。

また「少し少なめにしてお持ちしましょうか?」といった一言をかけるのも効果的です。

食べきったら「完食クーポン」を配布する

キレイに完食したお客様には次回の来店時に使える「完食クーポン」を渡します。完食に対するモチベーションアップに繋がりますし、次回の来店も施すことができます。

お洒落なドギーバッグを用意し「持ち帰り」を推奨する

アメリカの例で紹介したドギーバッグを用意し、食べ残しの持ち帰りを推奨します。

ポイントはドギーバッグをオリジナルのお洒落なものにすること。そうすることで「食べ残したものを持ち帰るのはエコでお洒落なこと」という意識付けが可能になります。

そしてその取組自体が話題となり、更なる誘客につながるのです。

食品ロス対策の取り組み事例

次に日本の飲食店における食品ロス対策の取り組み事例を3点紹介いたします。

捨てないパン屋

広島市のパン屋「ドリアン」は、かつては約40種類のパンが並ぶ人気店でした。

しかし睡眠時間を削り、早朝からパンを焼き始め、更に「焼き立て」を喜ぶ客のために午後3時を過ぎてもパンを焼いて店頭に並べても 残ったのは大量に売れ残ったパンと、経営状況の悪化した店でした。

そこで店主の田村さんはウィーンに修行にでかけます。そこで学んだのは、

材料はその時点で入手できるベストの物を使う」「提供する種類を絞り、余計な手間はかけない

というものでした。

国産の有機小麦は輸入小麦の4倍の価格でしたが、チーズなどの余計な具材を省くことで原価を圧縮。それによりパンが2週間も日持ちするようになったのです。

廃棄するパンは圧倒的に減り、利益率が向上して経営も安定しました。 労働時間も減って働き方改革にも成功と、いいこと尽くめです。

回さない回転寿司

回転寿司チェーンの「元気寿司」では「寿司が回らない店」を増やしています。 回転寿司なのに寿司が回っていないというのは一体どういうことでしょうか。

元気寿司を始めとする回転寿司チェーンでは、客が手に取らず回り続けている寿司は一定時間が経過すると廃棄される事になっています。 お客様に新鮮なネタ、寿司を食べてもらうための方針ですが、これが食品ロスを生み、経営を圧迫していました。

そこで客が注文すると新幹線やレーシングカーを型どった容器で皿を客の手元まで届ける「オールオーダー式」を採用。 すると好みの寿司を自分で注文できることがウケ売上高が1.5倍に上昇し、廃棄していた寿司も圧倒的に減ったのです。

売り切り御免で「限定商品効果」を狙う

京都の佰食屋(ひゃくしょくや)は1日100食限定の国産牛を使ったステーキ屋さんです。

当初障害のあるお子さんを育てながら店をやるために、営業時間を短くする目的で始めた「100食限定」でしたが、料理の味、クオリティが素晴らしいこともあって、たちまち行列ができる人気店に。

今では毎日完売、食品ロスもほぼゼロという理想的な状況になっています。

食品ロスをなくすための新しいサービス

飲食店向けに食品ロスを無くすためのサービスが登場しています。 飲食店と消費者がWIN-WINの関係になれる のが特徴。代表的なものを紹介します。

フードシェアサービス「TABETE」

TABETEは食品ロスを削減するためのWeb上のプラットフォームです。

飲食店は閉店時間やメニュー替えが近づき、余った商品や食材が出てしまいそうになった時、TABETEのWeb上に、価格、在庫数、引き取り期限を掲載します。 つまり「SOSサイン」を出すわけですね。

するとそのSOSをスマホアプリなどで見た客が欲しいと思えばその場で電子決済で購入。引き取り期限までに店舗に取りに行けば、処分価格で食事や食材が受け取れるという仕組みです。

フードシェアサービス 「Reduce GO」(リデュースゴウ)

 Reduce GOは月額制のフードシェアサービスです。 ユーザーは月額1,980円を支払い登録。すると専用のスマホアプリで自分の周辺のレストランやカフェ、小売店などで食品ロスが出そうになっている店舗を検索し、月2回まで受取ることができます。

飲食店側は価格、在庫数、引き取り期限を登録するだけ。無料です。

価格が安いこともあり、一時登録を制限していたほどの人気サービスです。

まとめ

ノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが日本に来て最も感動したのは

MOTTAINAI

という日本語。 そんな「もったいない」の国が、世界有数の食品ロス産出国というのは恥ずかしいことです。

元々日本人が持っていた「もったいない」の心。 消費者がその気持を取り戻せば飲食店でのムダな注文も減り、食べ残しは無くなって、余分な料理の仕込みもしなくて済むようになります。

食品ロスの対策は、飲食店にとっても、消費者にとっても、環境にとっても良いことです。 ぜひあなたのお店でも取り入れて、WIN-WIN-WINの関係を築いてみてください。

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